2023年5月の下旬に都内の公園でクロオアリの新女王を採取しました。なかなか産卵せず心配していましたが、無事卵を産んで育て始めたので、定期的に飼育の様子を配信しようと思います。今回は飼育開始〜蛹までです。
※この期間の部屋の平均温度は22〜26℃
1. 新女王アリの発見
5月21日
都内の住宅街に囲まれた小さな公園で、クヌギの木の根元を歩いているところを発見しました。遠目に見るとハサミムシと見間違えるほど大きくて、すぐに女王だとわかりました。
プリンカップにティッシュを敷き詰めて飼育を開始しました。容器は暗い戸棚に入れてストレスを与えないようにしています。
6月9日
飼育を開始してから生存は確認できるものの産卵をする気配がまったくありません。水分は定期的に与えていますが、ティッシュでは居心地が悪いと考え、石膏を敷き詰めたケースに移しました。
2. 産卵〜孵化
6月12日
あまり期待せずに何気なくケースを確認したところ卵を見つけることができました。やはり石膏の方が適しているのでしょうか。それにしても容器を変えてすぐに産むとは思っていませんでした。
7月1日
気づいたら卵がかなり増えていて、最初の方に産んだ卵は孵化して幼虫になっていました。女王はほぼ四六時中幼虫や卵の世話をしていて、口移しで餌を与えているのがわかります。試しに昆虫ゼリーを入れて見ましたが、3日経っても手をつけていなかったので撤去しました。
3. 蛹化
7月5日
おそらく早い個体は数日前に蛹化していると思いますが、蛹になった幼虫がかなり増えてきました。ここまで来れば働きアリの誕生まであと少しですね。さらに卵と幼虫は増え続けていて、女王は世話で忙しそうです。
卵、幼虫、蛹の全ての形態が同時にいますが、女王は自身のキャパを超えた量は産まないようになっているのでしょうか。それとも働きアリがまもなく羽化することを見越してやや多めに産んでいるのでしょうか。
飼育用品
石膏ケース
石膏を薄く流し込み固めたケースで、保水性に優れています。また、土を使わないため清潔で色も白いためアリの観察がし易いです。捕まえたアリはとりあえずこのケースに入れておけばほぼ確実に産卵すると思います。大型のアリでもあまり大きなスペースは必要としないようです。
作り方は、適当なサイズの薄型アクリルケースに水に溶かした石膏を3〜5mmほど流し込んで固まるまで待ちます。おそらく石膏が余ると思いますが、後に増築したり、実際のアリの巣を模した迷路のような巣を作りたい場合などに使えるのでストックしておくと便利です。
専用飼育ケース
石膏ケースで飼育してある程度働きアリが増えたら、大きめの巣に引っ越しをさせる予定です。石膏を用いて通路と部屋を作った人口巣で、清潔に飼育することができます。