地球人の私はウルトラマンから正義を学んだ

地球人の私はウルトラマンから正義を学んだ

 「ウルトラマン」は映画「シン・ウルトラマン」の公開やシリーズ最新作「ウルトラマンデッカー」の登場など、初代の放送から60年近く経った現在でも注目を浴び続けている。2023年3月22日にシリーズ3作品目となる「帰ってきたウルトラマン」で主人公の郷秀樹を演じた団時朗さんが亡くなったことは多くのファンに衝撃を与えた。このようにウルトラマンシリーズは世代を超えて親しまれている、日本を代表するヒーローである。

 筆者は幼少期からウルトラマンに親しんでおり、友人の多くが成長するにつれて他のものに興味が移ってゆく中、成人した現在でもウルトラマンを愛している。むしろ高校時代にネイチャーアクアリウムという趣味に出会い、水槽の中に自分だけの「地球」を作る活動を始めたことでウルトラマンへの愛着は一層強まった。それは自分の「地球」を守るという趣味がウルトラマンと重なったこともあるが、逆に実際に自分の住む地球環境について考えるようになったことも大きな理由である。今回は数多あるウルトラマンシリーズの名言から筆者が特に気に入っているものを2つ紹介する。

ウルトラマンエース

出典:https://m-78.jp/character/ace/

優しさを失わないでくれ。弱いものをいたわり、互いに助け合い、どこの国の人たちとも友達になろうとする気持ちを失わないでくれ。たとえ、その気持ちが何百回裏切られようと。

1972年に放送開始したウルトラマンエースの最終話でのセリフである。子供たちの前で変身し、正体を晒してしまったエースは地球の子供にこの言葉を残し光の国へ旅立った。このセリフは筆者が生きる上で最も大切にしていると言っても過言ではない。「たとえ、その気持ちが何百回裏切られようと」とあるように、たしかに優しさが裏切られることは珍しくない。優しさのつもりで良かれと思った行動が怒りや反感を買ってしまうことはよくある。優しさや愛情が無下にされてしまうこともある。しかし、たとえ伝わらなくても優しい気持ちを持ち続けることに価値があるのだと思う。人を認める心を持てば寛容になれる。筆者も「どこの国の人たちとも友達になろうとする気持ち」を持って海外の小学校に通い、結果として当時の経験は自分の視野を大きく広げてくれたと思う。そして今、アクアリウムという芸術作品を作る上でテーマやアイディアを考える際に広い視野はとても役に立っていると感じている。

帰ってきたウルトラマン

出典:https://m-78.jp/character/jack/

人間を愛するには人間を知らなければいけない。人間の強さも弱さも、美しさも醜さも。その両方を知らなければ、お前はこの星を愛することはできない。

このセリフは帰ってきたウルトラマン本編ではなく、ウルトラマンメビウス(2006-2007放送)に客演した際に郷秀樹がメビウスに伝えた言葉である。帰ってきたウルトラマン放送時には人間の醜さを描いたエピソードもあり、それを乗り越えた郷だからこそ人間を本当の意味で愛することができるのだと思う。どんな人間にも優しさはあり、たとえ見えなくてもそれを信じることが大切であるとウルトラマンが教えてくれた。人間は本来優しい生き物であるからこそウルトラマンはずっと地球を守ってくれているのではないだろうか。

水槽の中の地球を守る

ネイチャーアクアリウムは自然環境を水槽内に再現する芸術作品である。実際の地球のように生態系のバランスを維持しながら管理する。この小さな「地球」を守り、長期間にわたって維持することが作り手の仕事である。水槽の中の魚を見ていると、餌を求めたり喧嘩したり、ときには求愛行動を見せることもある。なんだか人間のようである。そう考えると、人間もただ懸命に生きているんだと感じる。他の生き物と同じように毎日を一所懸命生きていて、一所懸命すぎるがあまり他者を傷つけたり自分が傷ついたりするのだろう。そんな人間の頑張りをウルトラマンは愛してくれているのかもしれない。

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